車だって踊るしー 『ベイビー・ドライバー』
『ベイビードライバー』、おもしろかった!ベイビーという名のおとこのこのが、天才的ゲッタウェイ・ドライバー(強盗とかのとき、犯人を車に乗せて走る逃亡専門の運転手。この呼び方かっこいい)で、でもほんとは足を洗いたくて。ショーン・オブ・ザ・デッドの監督、エドガー・ライト。
ショーンは、わたし、ゾンビの頭めがけてレコード投げるシーンが好きだよ。ジュークボックスから流れるクイーンにあわせてゾンビ殴るとこも。音楽好きなんだなぁというかんじ、今回も。音楽好きでゾンビ好きで、カーチェイスも好きで、そして、恋愛の感じ、すき。ベイビーとデボラの、恋の始まりからちょうどよい。こうさ、日常感と同時に、恋愛は個人の固有のものだって感じがあって。他人の恋愛とかどうでもいいこともあるけど、こういうのはいいなぁとおもう。
ベイビーのアンセル・エルゴートとデボラのリリージェイムズ。アンセル、なるほどなぁ、いまはこういう男の子が人気なの。いいな、いかつくなくて、踊れるしな。リリーは、ダイナーが似合う美女…ツインピークスの影響かな、ダイナーにはこういう顔の美人がバイトしていてほしいとどこかでおもっているよ。
この映画、どうやら振付師がついてるみたいで、ライアン・ハフィントンという人。これの振付で有名な人。
ベイビー、無口なんだけど、よく踊る。珈琲買って帰り道とか、おうちで里親のおじいちゃんに歌うときとか。車も、カーチェイスなんだけど、音にあわせて走る、逃げる、ぶつかる。最初の赤いスバルでの逃走の、ガーッとバックしてクルって向きかえるの、かっこよかったーびっくりしたー。セルゲイみたいだった。人にも車にも、銃撃戦にも、音に合わせて振付がついてる。
テキーラにあわせて、銃でもって人殺し。「なにきいてんの」「エジプシャン・レゲエかよ」も、なんでもないけど曲にやたら詳しい感じがわかってたのしかった。
幅広い名DJ、その時その場の自分だけの、動的なBGM。思い入れのあるアイポッド、クルマといっしょに盗んだらしい赤の他人のアイポッド、お守りとしてたくさんの曲をふさわしく使いこなして、1人の世界に閉じこもる。特別な一曲を、おだやかな夢の続きのように、特別な人と共有する。いつかみた白昼夢を、外部へ代償の支払いを済ませた上で、現実とする。
カーチェイスができる土地ということで、アトランタで撮ったんだって。近頃は道路封鎖代が高かったり、ぐるぐる式交差点が汎用されていたりで、なかなか、撮れる土地がないらしい。
B-A-B-Y ベイビー!
ブラピの、タイラーがテレビにうつってた、ファイトクラブの。モンスターズインクといっしょに、ザッピングで。彼、ヒーローだよね。彼のこと思い出してがんばるときがあるというタイプの。
わたしさいきん、またしてもしばしば、マックイーンのことかんがえてる。澄んだ青空みたいなあのこのこと。真上に投げて高く吸い込まれていく林檎みたいな。いつも自由に手を伸ばしていて、そのやり方が暴力的でなく、他者への攻撃性をともなわないこと。