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ごらんになりましたか

とある旅行の日

乾季のベトナムは暑い。日中は雨季のカンボジアよりもっと暑い。しっとりした湿気もすこし。中部、海の近い町。

ホイアンの夜は、おもちゃの観光地みたいに混んでいた。提灯に日が灯り、川にろうそくの入った簡易的なランタンが浮く。ナイトマーケットとベトナムねぷた(おおきな鶏や亀なんかがモチーフ)の明かりを眺めながら、黒い川の上を手こぎボートですべる。黄色い街並みの昼は、時間が止まったようにどこまでも遠かった。強い日差しの中、ほこりっぽい道をつながれていない飼い犬たちがうろうろしていた。屋根の高さで咲くピンクの、または黄色のブーゲンビリアは視界の中で唯一水分を保ってみえるもので、生きた鮮やかさが目に涼しい。

 

タクシーでさっそくぼられ、値切りができずにまたぼられ。達成感こそあれ、まったく快適でない買い物。とはいえオーダーメイドが簡単にできるのはたのしい。

 

ホテルは、古い作りの、細工の良い家具をあつらえたすてきなところだった。

 

飲み物は、珈琲も紅茶も、濃くて渋い。ベトナム茶はさっぱりと深い、花の香りの清涼感のあるとても美味しいお茶だった。

暑いので食欲がわかない。回数も量も食べようとしないぶん、食事を取ったときの初めの三口ほどは、夢のようにおいしい。頼めばすぐ出てくる名物ホワイトローズ、薄いお好み焼きのようなバインミー。タイガーやハイネケンは、一応冷えて出てくる。ビンより缶が主流らしい。ガーリックライスにチキンを乗せただけの食べ物も、おいしい。味付けが良い。えびせんに乗せながら食べる青パパイヤのサラダも。

 

直行便ならかなり近い。旅の難易度は台湾よりカンボジアより高い。コミュニケーションの感性が、擦れててきつい感じ。

 

現地で買った三角の麦わら帽とサングラスで肌はしっかり守ったつもりだけど、全体的にこんがり焼けた。日本に帰って睡眠をしっかりとったら、もっちりしていつもより健康的にみえる。

世界はわたしにとって、まだ、思ったよりは広い。はじめての海外旅行、はじめての日本以外のアジア体験よりは既視感あるけれど、行っただけで心の動く部分はまだ残っている。体力的にも経済的にも精神の緊張的にも大変消耗したあと、日本に帰って日常を送ると、くたくたながらも心身が少し元気になっている。

日本でも、このくらい心を潤すための教養とお金の使い方、身につけたいもの。

 

失態だらけで優雅なバカンスじゃあなかったけれど、行って、そして帰ってきて、なにか少しだけ変わる、ちょっとした冒険。

目が、広く行き届くようになる。生活に埋もれていた状態から、その先まで視線をのばそうと。この大切な生活は、世界のたった一部。

 

暑すぎてカメラを使う余裕なく、写真がすくない。ホテルの中かあるいは、日差しにでないで撮るせいで浮世絵みたいな構図。

 

 

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