Starring: my name

ごらんになりましたか

DAVID BOWIE is -スティックキャンディみたいな神経

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平日、混んでおりません。寺田倉庫、デビット・ボウイ展。

鏡張りのくり抜きステージにStarmanの映像流しているの、きれいだった。1972年、BCCの音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』にスパイダーズ・フロム・マーズを従えて出演した際のものらしい。フレディ・バレッティの衣裳を着たボウイと、金髪長髪のミック・ロンソンと。あれをテレビで見て衝撃を受けたティーンたち、いいなぁ。でもあのブースのおかげで、「誰かに電話をしなくちゃいけなくて、I picked on you(君を選んだ)!」って指さされる気分を味わえた。あの虹色の蛇の鱗みたいな衣裳は、『時計じかけのオレンジ』の白いジャンプスーツの再解釈なんだそうな。

ボウイは、シンガーになりたかったわけじゃなくて、そもそものはじめは試行錯誤しつつ(チベット仏教の僧侶の資格を取ったりもしつつ)、アートを目指していたんだねぇ。なんでもみて、記憶装置に貯める。いつかつくるときに役に立つ。だから専門以外のことでもなんでもする。シュルレアのシュヴァンクマイエルとおなじことを言っていた。

「シンガーになりたかったわけじゃないけど、ささやかな物語を書き付けていたから、それを音楽にのせるのはかんたんだとおもったんだ」とのこと。なにやらとてもボウイらしいコメント、とはいえトム大佐の歌、あの状況設定には驚く。きっと、宇宙から撮った地球の写真なんかのインスパイアで書き付けて、つくっていったんだろうな。このブースは奥まったところに映像があることで、みていると浮遊感が生まれてよかった。青くうつくしく、ちっぽけな自分を意に介さず離れていく地球。

「有名になって影響力を得て、あたらしい考え方をみんなに広めたい」。これはたしかに、ボウイらしくアッパーでミーハーかつ、知的にまっとうなモチベーションかも。そうじゃなかったらウソだよね。

 

わたしはDVD視聴の世代ながら、Ziggy Stardustの大ファン。荒い画面にむき出しで映る、ダウナーで繊細なジギーのファンなのです。あれはそう、コンセプチュアル・アートなのか。アラジン・セインになると、ゾーンがまたすこしずれるんだよね‥なるほどな。

マイムの映像もあって、パフォーマンス・アーティストだよなぁと‥まず立ち姿がうつくしい。さながらプルミエ・ダンスール。白いフリルのブラウスにグレーのタイツが似合う。顔小さく足長く背も高く、マネキンの着る衣裳のサイズが普段目にするものよりずっと大きい。アレキサンダー・マックイーンのコート、ユニオンジャックの‥あの後ろ姿、顔がうつらずとも抜群。当時まだ学校卒業したてのマックイーンに、ボウイが依頼したんだそうなAshes to Ashesのピエロの衣裳はさすがきらびやかだった。憧れの山本寛斎のオリジナルをはじめて着用したという、歌舞伎の動物をモチーフにしてつくられた「Impossibly silly "Bunny" costume どうしようもないほど他愛ないウサギちゃん」、赤くて超ミニで謎だが異様にかわいかった‥。だってもちろん、ツアーの舞台で着たんでしょう?そう、映像でみたBoys Keep Swingingの女装、たいへんおきれいだった。三人分の演技も様になってるし、カツラをとってもなお綺麗だし。女物の着こなし、妖しくてもう、仕草なんか舞踏のよう。

 

ボウイって、当時のイギリスでは考えられないことのようにおもうけど、今振り返ってみても、ダサかったことがない。ハイセンス極まれり。なんてこった、いちいちがだよ。

 

プロデューサーのトニー・ヴィスコンティのインタビューで、現場ではまわりにプレッシャーを与えないようイージーゴーイングの雰囲気をつくってくれると人格を褒められていたり、ほかでもイギリス紳士としてジェントルな評判をきくけれど、『ラビリンス』のメイキングではさぁあ、魔法の水晶玉を扱うときのボウイの腕役の超優秀なジャグラーが失敗するたびに毎度、これでもかと大笑いしていたよ。とんだいたずら小僧の振る舞いだったよ。『ラビリンス』だいすき、この話はまたしよう。

クラスメイトと喧嘩して目を殴られたり、レストランで喧嘩してルー・リードに殴られたり、ずっと紳士なわけじゃないんじゃないかなあ。★ Blackstar、死を予期して作った、受け入れた死そのものすら作品にしたなどの評判を聞きますが、坂本龍一が述べていたように、「死ぬ気じゃなかったんじゃないかな、もっともっとあたらしいことやりたかったし、やるつもりだったんじゃないかな」というのがしっくりくるような気がします。歳をとったって、元来のいたずらなやんちゃ魂は消えなさそう。

ただ、神経が繊細なことはいつも神々しいほどで、容姿に加えてさらにうつくしさを増す。

 

オレンジのノート、買った決め手はリングと罫線。オレンジの線が、輪っかになっている、斜めになっている。あまりみたことないつくり。

あと、A REALITY TOUR、いま聴いてる。買ってよかった。Under Pressure、良い。 

お題「お気に入りの文房具」  デヴィッド・ボウイ大回顧展グッズ  DAVID BOWIE IS UNDERSTANDING THE LOGIC OF JAPAN

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