Starring: my name

ごらんになりましたか

ねこを飼う

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ねこがさ、赤い目やにをだしまして。

朝うんと早く出かけて、夜うんと遅く帰ってきたら、いつもより多い目やに。いつもの色より赤みが強いうす茶色。

最近、一緒にいる時間長かったからな‥早く帰って当たり前が続いてたもんな。気持ちもなにやらすねている様子。人間のアタマ甘噛、頬甘噛。遠慮がちかつだがしかし、爪を出しがち、人間叩きがち。目もいつもほど身を預けるようには拭かせてくれず、病気かアレルギーかといちおう心配するも案の定。翌日には目やにも気持ちも落ち着いて通常モード。やはり一時的な環境、人間不在のストレスによるものだったのか。それでこのおおきなおめめにつく目やにの色味が、変わるのか。

 

こねこの頃の方が、あまやかしをしていなかった。こういうことに類することが起こらないように、ひとりを必要以上にさみしいとおもうことがないように。ねこを守る気持ちで自分を守っていた気がする。べったりするのは良くないとおもっていて、種族のちがいを尊重しお互いに独立した存在であろうとしていた。寄ってきたときはもちろんかわいくて嬉しくて存分にかわいがり、そうじゃないときはこちらから抱き上げたりはせずの、遠目の距離感の心地よさ。撫でると目を細めて喜び、声を掛けると耳を向け嬉しそうに聴く。

 

暮しているうちに、ねことしてはもっと近くてもよいのではとかんじるようになった。ねこは、人間に抱っこしてもらいたくてたまらないのでは、と。または、抱き寄せられてもまんざらではないようだぞ、と。

今のところ、ねこは距離感が近くても、多少こちらの都合で振り回しても、可愛がられてさえいれば、文句はないようだ。それでじゅうぶん、心地がよいらしい。そうでないことが起きたら心でも身体でも素直に反応し、そして忘れる。原因が取り除かれたらすぐに戻る。ねこはねことしての自身とその感情に責任を持っているようで、しっかりケリをつける。何事もなかったみたいの明日にあたらしく生まれ直す。

 

ふわふわのとろとろなねこのおなかを引き寄せて、抱っこしたいときに抱っこするのはこちらの都合だけども、ねことしてはとくに頓着ないようだ。身体が安定する抱かれ方ならばよい。多少気乗りしなくても捕まればすぐ観念して抱かれる。興が乗ったら甘えて腕をまわしてくる。抜け出したくなったら抜け出すだけ。

ねこを愛するのは、自己愛の延長で問題がないみたい。自分の腕の続きを愛するような種類の愛をめろめろに注がれても、自身を揺らがすことがないらしい。ねこには、人間のそれを受け入れる度量がある。

 

ねこがうちに来て、一周年。世界一かわいい。控えめでおとなしくてあまったれの、どうやらこちらのことがだいすきなねこ。ふんわり温かい毛並み。毎日の世話と愛を一身に受ける。焼き立てクッキーみたいなその背中のにおい。自他の境を曖昧に循環しながらつくられていく甘やかで健やかな関係がめずらしくおもしろい。膝の上に乗っていても、お互い全く別なことをしていても、そういう生き物が部屋にいるということは、なんだかとても素晴らしい。

 

お題「我が家のペット」